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知財保護に十分な資金をかけられない企業こそタイムスタンプを使用すべき理由~タイムスタンプによる知財保護

目次
image 21 stii タイムスタンプサービス

弁護士 河野冬樹(執筆)

法律事務所アルシエンパートナー弁護士
著作権、商標権を中心とした知的財産を主たる取り扱い分野とし、企業の役員等も務める。
法律と経営の両面から企業に対して最適な知財戦略をアドバイスしています。

第1 はじめに~ 実はリスキーな特許を取得しない戦略

突然ですが、皆様の会社では、研究開発した技術やノウハウについて、特許を取得されていますでしょうか。

特許を取りたいけれども、弁理士費用や出願に要する費用等を考えて躊躇してしまう、特に、未だ製品化していないようなケースでは、収益が生まれるかもわからないのに、余分な費用をかけたくないという理由で出願をしないという選択をされる企業も増えてきています。

たしかに、あえて特許を取らずとも、営業秘密として管理しておけば他社に模倣されることはないし、むしろ技術が公開されないからかえってその方が良いという考えもありえます。

 

しかし、実は、この特許を取らない戦略は、一つ、重大なリスクを孕んでいます。それは、第三者がその技術について同じように研究開発して特許を取得してしまった場合どうするのか、という問題です。

このようなケースについて、確かに法律的には、先使用権といって、他者がした特許出願の時点で、その特許出願に係る発明の実施である事業やその事業の準備をしていた者については、他者の特許権を無償で実施し、事業を継続できるとされています。

 

なら大丈夫、と思いがちですが、そうではありません。これは、裏を返せば、他者がした特許出願の時点で、「その特許出願に係る発明の実施である事業やその事業の準備をしていた」事実が立証できない限りは、自分たちが独自でした発明であっても特許権侵害になり実施できなくなってしまう、ということなのです。

 

そして、その事実をどう立証しましょう。そもそも、営業秘密として管理することが前提なのだから、発明の事実について第三者に証言を得たりすることは現実的ではありません。

じゃあ、客観的な証拠を残すために文書をこまめに公証しておくのでしょうか。しかしこれでは、研究の過程で作成された文書を何通も公証人の費用をかけなければならず、もともとお金がないから特許の出願をしないことにしたのに、本末転倒です。

 

デジタル上で仮に研究開発当時のデータが残っていたとしても、後から作ったのではないか、と言われてしまうと、十分の証明になるかはかなり疑問です。

そこで、有効な手段として注目したいのが、デジタルデータ上でタイムスタンプを取得する方法です。

第2 タイムスタンプとは

私の個人的な体験ですが、以前、先方が偽造した借用書をもとに借金の支払いを求めてきた事件がありました。その事件では、裁判所での原本調べの際、紙が明らかに新しく最近作られたものらしいということがわかって事なきを得ました。このように、紙の書類の場合、紙の状態で時間の経過がわかったり、あるいは筆跡の変化や修正の痕などで改ざんされたりしたことはある程度明らかにできます。しかし、デジタルデータだと、そういったことができません。

タイムスタンプとは、このような問題を解決するために、電子文書が改ざんされていない、原本であることを証明する技術です。タイムスタンプそのものは、文書の作成者ではなく第三者が発行するため、後から改ざんをすることができません。すなわち、文書が①特定の時刻に存在したこと、②その後に改ざんされていないことを証明する働きがあります。

第3 タイムスタンプの法的有効性

タイムスタンプの法的有効性

実は、既に日本の裁判例で、特許ではなく商標ですが)、タイムスタンプを利用して証拠を残していたことで権利が認められた事例があるので、ご紹介します。

知財高裁平成28年11月2日判決(平成28年(行ケ)第10115号)は、商標の不使用取消審判審決取消訴訟で、商標の使用(商標法2条3 項8号所定の使用)の事実が認められるか等が争点となった事案です。

この事案では,商標権者は商標の掲載されたカタログを含むデジタル形式の商品カタログやメールマガジンのバックナンバーの写しを提出しており,これらには,いずれもタイムスタンプが押されていました。

この証拠に基づいて、「使用」の事実が認められるとされたもので、既に、裁判所、それも主に知財事件を扱う知財高裁でも、タイムスタンプが文書に押されていれば、その日付の時点でその文書が存在したとの認定がされているといえそうです。

すなわち、先に述べた、「その特許出願に係る発明の実施である事業やその事業の準備をしていた」事実の立証においても、先に、発明の内容を記載した文書にタイムスタンプを押しておくことで、その後訴訟で使用の事実を証明する必要が生じたとしても、十分に訴訟上その事実の立証が可能となるということです。

第4 Stiiタイムスタンプ電子帳簿保存法マネージャーのメリット

1. 年額固定費用のおかげで、文書を仕分けする必要がない

タイムスタンプについては、従来、従量課金方式、つまりはタイムスタンプを付与するごとに課金されるという方式が主流で、そうなると、結局文書にタイムスタンプをつけるにしてもコストを考慮して必要な文書とそうでないものをより分ける必要が生じてしまいます。都度弁護士や弁理士等の専門家に相談してこの文書が必要、この文書は不要、と選り分けていたらそちらの費用のほうが高くついてしまいます。

 

一方でこれは不要だろう、と思っていた文書が後で必要になることもあるので、自己判断でこれは不要、と判断して選り分けてしまうのもそれはそれで非常にリスキーなことであり、弁護士の立場としてはおすすめできないと言わざるを得ません。

そのため、従来だと、このような手段による知財保護というのも、実は結構な無駄な費用を覚悟しなければならないものでした。

 

しかし、こちらの、製品では、年額制で(つまりは、もともと必要なはずの電子帳簿保存法への対応に活用しつつそれと変わらない費用で)必要なタイムスタンプを取得することができます。つまりは、一度導入してしまえば、費用のことを気にすることなく、研究のためのデジタル資料すべてについてタイムスタンプを取得してしまえばよい、ということになります。

2. 一括取得の操作が極めて簡便

しかも、Stillタイムスタンプ電子帳簿保存法マネージャーの一括付与機能を使うと、大量のファイルに効率的にタイムスタンプを付与できます。

 フォルダ内の文書に一括で付与したり、あるいはファイルを選択して付与するということが可能なので、例えば、月に一度、研究のための文書をまとめたフォルダ内にある文書全てにまとめてタイムスタンプを付与しておく、といった業務規程だけ定めてしまえば、保存の段階では社内に知財管理の専門の人員がいない会社でも、簡単に数クリックでタイムスタンプを取得できてしまうので、研究開発部門単独で知財管理が一旦完結してしまえる、ということになります。

image 23 stii タイムスタンプサービス

3. PDF以外でもタイムスタンプの付与が可能

とはいえ、研究の過程の文書としては様々なものがあり、膨大な数値を含んだ実験結果、精緻な図面や設計資料、企画書、開発報告書など、これらすべてをPDFにしてタイムスタンプを付与するのは現実的ではない、という疑問をお持ちの方もいるかも知れません。

この問題を解決する、stillタイムスタンプのさらに注目すべき点として、PDFファイル以外についてもタイムスタンプの付与が可能な点が挙げられます。すなわち、デジタルデータでありさえすればわざわざPDFにするまでもなく、そのままの状態でタイムスタンプの付与を受けることができます。

240115 付与マネージャー1 stii タイムスタンプサービス

4. 今後、知財保護により特化したバージョンも発売予定

このようにいいことずくめのように書いてきた本製品ですが、一つだけ残念な点があります。それは、もともと電子帳簿保存法に対応するための製品なため、タイムスタンプの有効期間が10年しかなく、場合によってはこれでは短い場合があることです。この点についても、近々、自動延長機能のついているバージョンも発売予定とのことですので、この点を重視される方は、そちらをお待ち下さい。

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