
弁理士 内山三香
大阪知財事務所 弁理士
【スタートアップや中小企業が陥りやすいIP関連のミスとその対策】
知的財産を活用するための具体的な戦略や支援策についてどう考えていますか?
→中小企業やスタートアップ企業は、知財部がないところが多いかと思います。
公開される前に出願しないといけないことを知らない企業が多い印象ですので、知財セミナーを受ける等して知識を増やすべきだと思います。また、特許だけでなく、意匠、商標などで多面的に保護すると良いです。
知財まで手が回らず、フォローできていない企業が多い印象です。
そのため、知財部を設けて専門的な人を採用するとか、製品をリリースする前に、他社の権利を侵害してないか調査する等が重要です。
警告状が来ないような事前の対策をすることが予防策になるかと思います。
【その他知的財産保護についてのインタビュー】
■知的財産保護の重要性
1. 現代のデジタル時代において、知的財産保護がどれほど重要であると考えられていますか?
→自社の製品を守ることは独自性・信頼性を示し、競争力を高めるために非常に重要な役割だと考えます。
企業の将来を左右する将来的な紛争を予防することができます。現代と過去を比較すると、特に”デジタル”は目に見えないので、過去よりも現代の方が気を付けなければいけない部分は大きいと思います。
■企業の知財戦略
2. 企業が押さえるべきIP保護戦略と、特許紛争の予防策としてどのようなアプローチが効果的だと考えますか?
→企業が押さえるべきIP保護戦略は、発明が生じたら知財化を検討することだと考えます。
特許紛争の予防策は、実施する前に侵害予防調査をしておくことが良いと考えます。
■IP保護戦略の最新動向
3. 現在、日本国内で注目されているIP保護戦略の最新動向について、どのような傾向が見られますか?
→出願件数は減っていますが、出願に対しての登録件数は増えています。したがって量よりも質が向上している傾向にあります。
■特許取得と秘匿化
4. 敢えて特許を取得せず、技術をノウハウ化する企業も多いですが、特許を取得するかしないかはどのように判断すればいいのでしょうか?
→特許を出願すると基本的に1年半で公開されますので、公開したいかしたくないかを考え、費用面も考慮して判断するべきだと思います。
■法的課題と対策
5. 知的財産保護における法的課題とその対策について、どのような点が重要であると考えますか?
→知らなかったでは済まされないので、他人の権利を侵害していないか調べることが重要です。
特許庁のHPにも掲載されている無料のデーターベース(J-
■知的財産保護の現状
6.どのような企業や個人がまだ知的財産保護への関心や対策ができていないと考えていますか?
→個人事業主、スタートアップ企業、中小企業等は知財の対策ができておらず、警告状が届いて初めて知るというケースも多々あるのが現状です。
■AIと知的財産
7. AI技術が進化する中で、知的財産保護にどのような影響が考えられますか?その対策についてどう考えていますか?
→現在、発明者は自然人と定義されているため、今のところ日本ではAIは発明者に入らないと、判断されています。しかし、今後は発明者になる可能性もあると思いますので、
常に情報収集を心がける必要があります。
■国際的な知財保護
8. 国際的な知的財産保護の動向について、どのような傾向が見られますか?日本企業にとっての影響についてどう考えていますか?
→世界全体の出願件数は2023年に過去最多になっています。外国人が日本に特許出願する件数も増えており、知財に対する需要は大きくなってきていると考えます。
■デジタルコンテンツの保護
9. デジタルコンテンツの知的財産保護について、どのような技術や法的措置が有効だと考えますか?
→動画等は、違法アップロードが多く、イタチごっこになっていますので、コピーされない仕組み作りなど、根本的に対策していく必要があります。
■ケーススタディ
10. 弁理士様が実際に経験された、知的財産保護のケーススタディとアドバイスについて教えてください。
→特許の場合ですが、公開まであと1ヶ月という状況でのご相談がありました。公開日までに権利化可能性を調査し、出願を完了する必要がありますので、余裕を持って事前にご相談いただきたいです。
また、警告状が届いた際には、侵害していなくても対応しなければいけません。
その際時間と労力を費やして、侵害していない旨の主張をします。予め紛争にならないような工夫が必要です。
■知財保護の課題
11. 現在、日本国内で知的財産保護に最も大きな課題として何が挙げられると考えますか?その解決策についてどう考えていますか?
→まだまだ知財を知らない人が多いのが現状です。知財の重要性を知る必要があると考えます。
理想は、何かを作りだしたら、知財化を検討する。(*知財化:特許、実用新案、意匠、商標として権利を取ること)
知財保護をしなかった時のリスクを世の中へ知らせるべきだと思います。
■将来の展望
12. 知的財産保護や法改正の将来的な展望について、どのような変化が予想されると考えますか?その準備としてどのようなステップが必要だと考えますか?
→例えば、医療機器の場合ですと、医薬品の承認申請にはすごく時間がかかります。特許を取得できても薬事承認が下りないと、売り出せません。
せっかく特許を取得したのに特許を活かせない期間が生じてしまいます。
実施できない期間を補うため、特許期間を延長しようという制度があります。日本の医療機器に関しては、まだ対応延長対象になっておりませんので、今後、医療機器に関しても延長対象になると思います。
社会実情に沿って法改正はされていくと思いますので、常に情報収集はしておく必要があります。
■知財教育の必要性
13. 企業内での知財教育の必要性についてどう考えていますか?具体的な教育内容や方法について教えてください。
→非常に重要だと思います。知財部以外の研究や開発等の他部署の方は知財の知識があまりない方が多い印象です。企業内部でもお互いにセミナーをして教育するのがすごく重要だと考えます。
■知財保護の技術的側面
14. 知的財産保護において、タイムスタンプはどのように活用できると考えますか?その利点や課題についてどう考えていますか?
→「stiiタイムスタンプ知的財産マネージャー」は手続き面や時間、人件費を削減できるので活用できると考えています。
先使用権は認められるのが難しい権利です。発明時点が明確化できる点など、活用できると思います。

AI時代の知財戦略とこれからの制度設計
弁理士 木本大介 ピクシーダストテクノロジーズ株式会社 知財・法務・広報グループ グループ長 2003年、上智大学大学院電気電子工学専攻修了後、株式会社リコーに入社。知的財産部で、複写機を中心とした電気・機械分野の権利化業務に従事。2006年 弁理士登録、特許事務所にて電気・ソフトウェア分野を中心に

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