要点ブロック
Live2Dモデルや立ち絵をめぐる権利トラブルは、「どちらが先に作ったか」が争点になることがほとんどです。
公開・納品の前にデータの存在した時点を第三者の記録として残しておくと、後から先後関係を示す材料のひとつになりえます。
登録不要でメールを送るだけのタイムスタンプサービスなど、手軽な方法から始めることができます。
はじめに――何と何で迷うのか
VTuberのデビューに向けてイラストレーターやモデラーに立ち絵・Live2Dモデルを発注した、あるいは自分で制作した。
そんな場面で「もしトラブルになったとき、自分が先に作ったと証明できるだろうか」と不安を感じたことはありませんか。
実際に起こりうるのは、こういった状況です。
- 納品後に「元データを持っているのはどちらか」で依頼主とモデラーの間で話が食い違う
- SNSに公開したら似たデザインが後から現れ、「パクリ」と言われてしまう
- AI学習に使われたとみられる画像が流通し、「本当に自分が先に描いたのか」を問われる
こういった場面で力になるのが、ファイルが「いつ存在していたか」を示す記録です。しかし「どうやって残すのが一番いいのか」となると、選択肢がいくつかあって迷いますよね。この記事では主な方法を比較しながら、どの方法が自分に合っているかを考えるヒントをお届けします。
タイムスタンプとは?
タイムスタンプとは、あるファイルやデータが「特定の日時に存在していた」ことを第三者が証明する電子的な記録のことです。
著作権はそもそも創作した時点で自動的に発生しますが、「いつ作ったか」を後から示す手段は自分で用意しておく必要があります。
タイムスタンプはその手段のひとつです。
Live2D・立ち絵の証拠を残す方法の比較
主な方法を4つ取り上げ、コスト・手間・始めやすさで比較しました。
| 方法 | コスト | 手間 | 始めやすさ | 第三者性 |
|---|---|---|---|---|
| 専用タイムスタンプソフト | 月額数千円〜 | 設定・導入が必要 | やや難しい | 高い(認定機関) |
| タイムスタンプメール(stii) | 月5ファイル無料、以降540円〜 | メールを送るだけ | とても簡単 | 高い(総務大臣認定) |
| 自己宣言(SNS投稿・ブログ) | 無料 | 手間なし | 簡単 | 低い(自分が発信) |
| 手作業(USBに保存・日付フォルダ管理) | 無料 | 自己管理が必要 | 比較的簡単 | 低い(自己管理) |
各方法の特徴メモ
専用タイムスタンプソフト
企業や専門家が使う本格的なツール。設定やソフトの導入が必要で、月額費用もかかる場合が多いです。
大量のファイルを扱う制作会社向けには合理的な選択肢ですが、個人クリエイターには少しハードルが高め。
タイムスタンプメール(stii)
ファイルをメールに添付して送るだけで、総務大臣認定の時刻に基づくタイムスタンプが付与されます。
登録不要、スマホ対応、月5ファイルまで無料というシンプルさが特徴です。
SNS投稿・ブログ
WIPや下描きを投稿しておく方法。手軽ですが投稿日時の改ざんリスクや、「この投稿が本当に本人のものか」という反論を受ける可能性があります。
メインの証拠手段としては心もとない面も。
手作業(フォルダ・USB管理)
「制作日付フォルダに保存」などの自己管理。記録の存在は示せますが、
「自分で後から作ったのでは?」と言われると第三者性がないため反論しにくい場面があります。
どんな人にどれが向くか
自分の状況に近いものを確認してみてください。
専用ソフトが向く人
- 制作会社・プロダクションなど組織で大量に案件を扱う
- 毎月数十〜数百ファイルをタイムスタンプ管理したい
- IT担当者がいて導入設定を任せられる
タイムスタンプメール(stii)が向く人
- 個人VTuber・配信者として活動している
- 絵師・モデラーとしてフリーランスや副業で動いている
- 「とりあえず無料で試してみたい」「難しい設定は苦手」
- スマホだけで完結させたい
- 月数ファイルから始めたい
SNS投稿が向く場面
- タイムスタンプと組み合わせて「制作過程の記録」として補足的に使う
- WIPを共有してコミュニティとの交流も兼ねたい(ただし単独の証拠としては限界あり)
手作業管理が向く人
- 完全にプライベートな作品で公開予定がない
- まず自分の制作フローを整理したい段階
stii が向くケース――小さく始めたい人に
「証拠を残したいけど、専用ソフトは大げさすぎる」と感じているなら、stii はちょうど中間の選択肢です。
stii の特徴まとめ
- 登録不要:アカウント作成なしですぐ使える
- メール添付だけ:ファイルを添付してメールを送るだけ
- 月5ファイルまで無料:デビュー前の立ち絵、Live2Dの完成データ、素材ファイルなどを少数ずつ記録可能
- 540円〜:無料枠を超えた場合もリーズナブルな価格帯
- スマホ対応:PCがなくても操作できる
- 総務大臣認定の時刻:「自分で勝手に付けた時刻」ではなく、国の認定に基づく第三者機関の時刻が付与されます
実際の使い方イメージ(VTuberの場合)
- Live2Dモデルの最終データ(.psd / .cmo3 など)を用意する
- stii 宛のメールアドレスに添付して送信
- タイムスタンプ付きの確認メールが届く
- そのメールを保管しておく
デビュー発表の前日、SNS公開の前、納品の直前など、「これが完成した瞬間」に送っておくのが基本的な使い方です。
後から「あのとき記録しておけばよかった」と思う前に、一度だけ試してみるのもいいかもしれません。
⚠️ タイムスタンプは証拠手段のひとつです。「これさえあれば必ずトラブルが解決する」というものではなく、状況や関係者によって判断が異なる場合があります。
よくある質問
Q1. Live2Dの元データ(.cmo3ファイル)もタイムスタンプを残せますか?
A. はい。stii ではPSD・PNG・ZIP・動画など一般的なファイル形式に対応しています。Live2Dの作業ファイルや書き出し動画など、記録したいデータをそのまま添付できます(ファイルサイズ上限あり)。
Q2. 発注者と制作者(絵師・モデラー)のどちらが残すべきですか?
A. どちらが残してもかまいません。制作した側が「自分が作った」と示したい場合は制作者が、発注した素材を受け取った際の記録を残したい場合は発注者が、それぞれ自分のタイミングで残せます。両方が記録しておくことで、納品のやりとりの時系列がより明確になります。
Q3. SNSに公開済みの立ち絵でも意味がありますか?
A. 公開前が理想ですが、非公開の高解像度データや元ファイルのタイムスタンプを残すことで「公開された画像の元データがいつ存在したか」を補足的に示す材料になりえます。
Q4. 無断転載やAI学習の証拠として使えますか?
A. タイムスタンプは「そのデータが特定の日時に存在していた」という時点の記録です。無断転載やAI学習への対応において先後関係を示す参考情報になりうますが、それだけで全てが解決するわけではありません。プラットフォームへの申告や専門家への相談と組み合わせて使うのが現実的です。
Q5. 総務大臣認定とは何ですか?自社が独自に時刻を付けているサービスと何が違うのですか?
A. stii が付与するタイムスタンプは、総務省が認定した時刻認証業務に基づいています。「自社のサーバーが示す時刻をそのまま記録する」のではなく、国の認定を受けた第三者機関の時刻が使われます。これにより「時刻を後から改ざんしたのでは?」という疑念を減らす根拠のひとつになります。
まず1ファイル、試してみませんか?
デビュー前のLive2Dモデル、完成した立ち絵、納品用のデータ――「これが自分の作品」という記録を残しておくのに、難しい手続きは必要ありません。
stii は登録不要、メール添付だけ、月5ファイルまで無料です。まず1ファイルだけ送ってみて、どんな確認メールが届くか体験してみてください。
「備えておけばよかった」より、「備えておいてよかった」の方がずっと気持ちがいい。





